広報よこはま神奈川区版 5・8・9ページ
2020(令和2)年3月号 No.269

◯特集
共に生きる社会を目指して
わたしたち、ここにいます

 身近な場所で、さまざまな特技や能力を生かして活躍している障害のある人たちがいます。仕事をしたり、スポーツをしたり、ボランティアをしたり、趣味を楽しんだり。いきいきと暮らし、働く人や活動を紹介します。
 障害の有無に関わらず誰もが自分らしく暮らし、互いに支えあい共に生きる社会を作っていきましょう。



◎すてきなアレンジメントをお届け
 「お花のデリバリー」で区役所に華(はな)を

 「お花のデリバリー」は、区役所が神奈川区障害者地域作業所連絡会に委託している事業です。区内にある8つの事業所(浦島共同作業所、ぐりーんろーど、青桐茶房(せいとうさぼう)、せせらぎ、たんまち福祉活動ホーム、もくもく、リワーク神奈川、わかば工芸)が順番で、毎週月曜日に区役所の窓口にお花を飾っています。
 お花はボランティアの先生と一緒に作ります。メンバーの感性や創造力で、すてきなアレンジメントが生み出されています。大小合わせて15個の愛情込めて作った「わたし達の愛しいお花」を届けています。

たんまち福祉活動ホーム 細川(ほそかわ)さん
「僕たちが一生懸命作っています。見てもらえるとうれしいな」



◎交流が生まれるくつろぎのカフェ
 障害のある人もない人もみんなが憩える場所を

 住宅街の中にある「地域活動支援センターむすび」では、コーヒーカフェを開いています。地域にとけこんだ、障害のある人もない人も気軽に集える、居心地のいい居場所を目指しています。

【働いている人の声】
◯ここで働き始めて、明るくなったねと言われます。服装にも気を使うようになりました。
◯自分にできることを任されることで、もっといろいろなことができるようになりたいと思うようになりました。
◯お客さんの笑顔や、「おいしかったよ」「また来ます」という言葉にやりがいを感じています。
◯精神疾患があっても、みんなと同じように生活できることを分かってほしいです。
◯「病気」ではなく「わたし」を見てほしいと思います。

笑顔で働くユウコさん・コーヒーを豆から入れる川村(かわむら)さん
「おいしいコーヒーとスタッフの笑顔がお待ちしています。ぜひお立ち寄りください」

【地域活動支援センターむすび】
神之木台3-3(大口駅東口歩6分) 電話947-4581  ファクス947-4582

●カフェ営業時間 火曜〜土曜(祝日除く)10時30分〜15時 ※木曜ランチあり
●インスタグラムで発信中 「むすびmusubi0508」で検索



◎得意なことで社会参加
 みんなの役に立ちたくて

 区内で生活している知的障害のあるAさんは、普段は地域の作業所に通い、困ったことや分からないことは、相談機関の支援者に相談しています。
 1年ほど前に、自分の得意な掃除で誰かに喜んでもらいたいと思い立ち、支援者に相談。市内の公園の清掃ボランティアを始めました。
 今は週2回、「きれいは安心」をモットーに支援者と一緒に清掃活動をしています。公園の管理者から、その日掃除する場所を教えてもらい、主に落ち葉掃除をしています。顔見知りになった子どもたちがあいさつしてくれたり、公園に来る人から声を掛けられることも増えました。「今日もやってるのね、お疲れ様。ありがとう!」の一言がとてもうれしいそうです。

Aさん「きれいにした公園、大事に使ってね」

【支援者の声】
 とても熱心に取り組んでいます。ひとりでどんどん進められるので、私たちは見守っていることが多いですね。頑張りすぎて疲れないよう、時々声を掛けています。



◎何事にも自分らしさを持つ
 仕事もスポーツも全力で!

 区役所で障害のある人がチームの一員として働いています。パラアスリートとしても活躍中の高齢・障害支援課の林田(はやしだ)職員を紹介します。
「介護保険関係の事務の仕事をしています。障害の特性で、環境の変化やイレギュラーなことが苦手なので、パソコンの入力作業や書類整理の仕事を担当しています。コミュニケーションを大事にして、一緒に働いている人に積極的に声を掛けるようにしていますが、人との関係が近すぎるのも苦手なので適度な距離を取るよう、心掛けています」

【これまでの成績:知的障害のクラス】
●リオ2016パラリンピック競技大会 100メートル平泳ぎ7位
●アジアンパラゲームス2018 100メートル平泳ぎ銅メダル獲得

林田職員
「仕事も水泳も『ここは外せないぞ』という気持ちを自分で作って頑張っています。東京2020パラリンピック競技大会出場を目指して練習中です」

【同僚職員の声】
◯自分に厳しく、努力しているすごい人です!
◯電話や窓口応対は、ほかの職員がお手伝いしています。
◯仕事をお願いするときは分かりやすい言葉で伝えています。それ以外はほかの職員と何も変わらないです。



◎福利厚生の一助をめざして
 心と体を癒(い)やす技術で社会貢献

 大口駅西口から続く点字ブロックにそって坂道を登ったところに、市内唯一の公立盲学校、横浜市立盲特別支援学校があります。ここには「専攻科」という課程があります。生徒の平均年齢は40代。はり、きゅう、あん摩マッサージ、指圧などの専門的な技術を身に付け、国家試験受験資格を得ることを目指して学んでいます。
 盲特別支援学校では臨床実習の一環として、校内で地域の人に施術を受けてもらう場を設けています。教員の指導の下、生徒が施術を行い、技術だけではなくコミュニケーション能力を高める大切な場になっています。
 生徒の約8割が、卒業後の進路としてヘルスキーパーを希望しています。しかし、横浜市内の企業からの求人はまだ少ないため、学校でも積極的に職場開拓を行っています。

※ヘルスキーパーとは、国家資格を有する視覚障害者があん摩マッサージ・指圧・はり・きゅうなどの施術を行う職種。企業が福利厚生の一環として取り入れ、業務中に生じた疲労等を取り除き、健康増進と作業能率の向上を目的としています。

【生徒の声】
◯進行性の病気なので、将来全盲になるかもしれません。そのときになっても働いて、誰かの役に立ちたいです。
◯体だけではなく気持ちもほぐし、癒やしの空間を提供できる施術者になりたいです。
◯私たちが街で困っているように見えたときには、突然触られるとびっくりするので、まず「どうしました?」「お手伝いしましょうか?」と声を掛けてくださるとありがたいです。

生徒の吉田(よしだ)さん、群馬(ぐんま)さん、藤森(ふじもり)さん、教員の磯(いそ)先生
「先生の指導を受けて上達を目指します」

【ヘルスキーパーに興味のある企業は、お問い合わせください】
横浜市立盲特別支援学校 高等部専攻科進路担当
電話431-1629  ファクス423-0284 Eメール ys-ybesg@edu.city.yokohama.jp
「横浜市立盲特別支援学校」で検索


〈神奈川区の障害者の状況〉
 障害の種類は大きく3種類に分かれています。いずれかの障害者手帳を交付されている人の数は、神奈川区で約1万人、人口比では区民の約25人に1人となっています(2019年3月末現在)。
●身体障害 視覚、聴覚・平衡機能、音声・言語機能、肢体不自由、内部障害
●知的障害 判定機関で知的障害と判定された人
●精神障害 精神疾患のため、日常生活または社会生活に制約がある人


〈冊子「まちでくらす」をご活用ください〉
 『まちでくらす』は、障害があってもなくても、誰もが自分らしく、住み慣れた場所で、いきいきと安心して生活してほしいという思いから、神奈川区地域自立支援協議会が主体となり、地域の人たちの協力のもと作成されたガイドブックです。区の相談機関や事業所などの情報を掲載しています。ぜひご覧ください。
配布場所 区役所別館3階301窓口
「まちでくらす 神奈川区」で検索



問合せ 高齢・障害支援課 電話411-7114  ファクス324-3702