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戦略2 学校業務の適正化、精査・精選

学校や教員の担うべき業務の適正化や精査・精選、アウトソースを進めていきます。


(1)学校業務の適正化

①勤務時間外の留守番電話の設定 (NEW)

【現状】
学校は、明確に閉校時間について定めがあるわけでなく、教職員が学校にいる限り電話応対していることが多い現状です。
学校で授業準備や事務作業に集中する時間を確保するとともに、勤務時間を意識した働き方を進める上でも、地域の実情を十分に踏まえた上で、一定の時間で区切りを設けることが必要です。

【今後の方向性】
全市的な取組として、各学校や地域の実情を踏まえ、勤務時間終了時刻(標準的な勤務の終了時刻 16:45)以降に順次、留守番電話を設定する取組を進めます。
留守番電話設定を進めるにあたっては、取組について保護者や地域、学校関係機関に幅広く周知を行い、理解・協力を求めていきます。

【工程表】勤務時間外の留守番電話の設定
2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33) 2022(H34)…導入・取組周知

【留守番電話の設定状況】
各学校で留守番電話の設定の取組が少しずつ広がっています。
保護者や地域のご理解もあり、導入校では「授業準備に集中できるようなった」などの声が上がっています。

①設定状況(平日、勤務時間終了後に留守番電話の設定をしている学校:H29.12)
設定校数
小学校…128校(39%)
中学校…8校(6%)
義務養育学校…0校
特別支援学校…0校
合計136校(29%)

②設定開始・解除時刻
小学校 開始「18時~19時」…75%、解除「最初に出勤した人の勤務時刻~7時30分」…90%
中学校 開始「18時30分~最終退勤者の退勤時刻」…学校により様々、解除「最初に出勤した人の勤務時刻~8時」…学校により様々

③設定する上での配慮事項等
■区や中学校ブロックでの協議を通じ、近隣校等と合わせて設定時間等を決定。
■学校運営協議会、学校だより等を活用し、保護者・地域への周知と理解の促進。
■保護者等から折り返しの電話がある場合、その日は設定開始時刻を遅らせるなど、柔軟に対応。



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②部活動休養日の設定 (NEW)

【現状】
 平成 27 年3月に「横浜の部活動~部活動の指針~」の改訂時に「部活ノーデー」など、活動時間の配慮等について記載しましたが、各学校における実施状況にはばらつきがあります。

【今後の方向性】
生徒の健康管理、豊かな社会体験、家庭生活の充実等を踏まえ、「生徒の調和のとれた学校生活の実現を目指す」という、本市部活動の目標を踏まえ、「週に平日1日以上、土日どちらか1日以上」を部活動休養日として全中学校・義務教育学校後期課程及び特別支援学校中学部で設定します。
なお、高校については別途検討します。

【工程表】部活動休養日の設定
2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33) 2022(H34)…全中学校で実施
 
※なお、小学校における特設クラブの活動についても、児童の調和のとれた学校生活の実現という観点から、上記の中学校部活動の方向性も踏まえ、適切な活動時間等を設定します。


【1年経過!「部活動休養日」】
 神奈川中学校では、「部活動活動規定」を見直し、平成 29年4月より “平日1日”と“土日どちらか”を休養日とすることとしました。
見直しの経緯や新たに示された活動規定(下欄参照)は、学校だよりと入学説明会、さらに土曜参観後の部活動保護者説明会で保護者に伝えました。
学校だよりには、部活動の現状と課題(生徒や顧問の負担等)を記して保護者へ理解を求めました。
 休養日設定から約 1 年が経ちました。部活ごとに大会等のスケジュールが異なるため、平日の時間や月単位での活動回数を調整しながら休養日を設定しています。
計画性をもち先を見通すマネジメントの力も大切です。休養日を含めた活動に、顧問、生徒、保護者も慣れ、この1年間の活動を終えようとしています。

〔参照〕教職員の負担軽減ハンドブック②~教職員が子どもとしっかり向き合う時間の確保のために~(平成29年5月 横浜市教育委員会)横浜市教育委員会>教育施策情報 >教職員の負担軽減に向けた取組

神奈川中学校「部活動活動規定」
本校の部活動の活動日については、生徒や顧問が疲弊せずにバランスの取れた学校生活を送るため、また、学習や休養及び家庭生活の充実を図るため、文部科学省・横浜市教育委員会の部活動指針等の趣旨をふまえて、次のように規定する。
①平日1日(朝練を含む)と土日のどちらかを休養日とする。
②大会参加などで土日に活動がつづくような場合は、他の曜日で配慮する。
③休日の校内練習は、半日を単位とする。(大会・練習試合等は該当せず)



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③夏季の学校閉庁日の継続実施、冬季の学校閉庁日の実施 (NEW)

【現状】
8月3日~16 日を学校閉庁期間として市主催の研修を行わないこととし、当該期間中は、各学校の判断により学校閉庁日(市主催行事・研修等なし、電話対応等をする日直を置かない)を設定できるようにしています。
平成 29 年度は 465 校(小学校 98%、中学校 84%、義務教育学校 100%、特別支援学校 75%)で実施され、学校課業日には取得が難しい振替休暇や年次休暇の取得促進につながっています。

【今後の方向性】
引き続き、夏季休業期間中の学校閉庁日を継続実施するとともに、冬季休業期間についても、新たに 12 月 27 日、28 日、1 月4日、5 日の計4日間を学校閉庁期間とし、学校の実情に応じて学校閉庁日を実施します。
学校閉庁日の実施については、引き続き、保護者、地域、関係機関等へ周知するとともに、積極的に取組を推進していきます。

【工程表】学校閉庁日の実施
2018(H30)…夏季継続実施・冬季開始
2019(H31) 2020(H32) 2021(H33) 2022(H34) …取組周知・推進


④計画的な休暇等の取得促進 

【現状】
一般の地方公務員と同様に教職員には年次休暇(以下「年休」)が付与されていますが、学校課業日は年休の取得が現実的に難しい状況であり、長期休業中にまとめて取らざるを得ない状況です。

【今後の方向性】
各学校において、「計画的な年休取得」や「定時退勤日の設定」を推進します。
ワーク・ライフ・バランスの推進だけでなく、メリハリのある時間設定をすることで、先を見据えた業務の進め方の意識の向上につなげていきます。

【工程表】計画的な休暇等の取得に向けた取組
2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33) 2022(H34) …計画的な年休取得、定時退勤日の設定等を実施



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(2)学校業務の精査・精選

①横浜市学力・学習状況調査に係る業務の一部外部委託 (NEW)

【現状】
 毎年行われる横浜市学力・学習状況調査実施に係る正誤判断やデータ入力等の業務は、現在各学校が担っていますが、これらの業務については一部外部委託を検討していく必要があります。

【今後の方向性】
教職員の負担軽減を図るため、同調査に係るデータ入力等の業務の外部委託を進めます。
全国学力・学習状況調査の実施状況も注視しつつ、本市調査の調査日程や調査対象等を整理し、効果的・効率的な調査実施方法を引き続き検討していきます。

【工程表】横浜市学力・学習状況調査の一部外部委託
2018(H30)…試行
2019(H31) 2020(H32) 2021(H33) 2022(H34)…一部外部委託による試験実施・効果検証・検討


②教職員の業務の精査、アウトソースの検討(NEW) 

【現状】
社会の変化とともに、学校に求められる役割が拡大の一途をたどっており、国が定める標準法上の定数では、学校が担う業務の総量と学校における人的資源のバランスが取れていない状況です。
国の中央教育審議会においては、登下校に関する対応や給食時の対応、校内清掃など現在学校が担っている業務について、【基本的には学校以外が担うべき業務】【学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要がない業務】【教師の業務だが、負担軽減が可能な業務】の3つに分類し、学校・教師が担う業務の役割分担・適正化について議論※13されました。
その他にも、学校では、学校行事の写真掲示や学習教材の集金業務、教室等の床洗浄やワックスがけなど、必ずしも教員が担う必要のない業務を教員が担っている現状があり、学校からは、就学時健康診断業務や ICT 機器の管理業務などの一部アウトソースを求める声が上がっています。

【今後の方向性】
学校や教職員の担うべき業務については、それぞれの法律での位置づけや教育課程との関連性等も考慮しながら、国の検討状況も注視しつつ、学校業務の精査の検討を進めます。
合わせて、学校の業務を外へ出していく(アウトソース)場合の方法や受け皿についても検討を進めます。

【工程表】教職員の担うべき業務のあり方の見直し
2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33) 2022(H34) …検討、モデル事業等の展開、効果検証


※13…中央教育審議会「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(中間まとめ)」(平成 29 年 12 月 22 日)



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【身近な取組を見直してみると…】

~保護者や地域の力を借りて~

今まで、学校の先生が行ってきたことの中で、保護者や地域の方の力を借りてできることはないでしょうか。
今までの“あたりまえ”を見つめ直すと…。
上山小学校では、「新体力テスト」に保護者ボランティアの力を借りることにより、安全性の確保がされるだけでなく、計画より 20 分以上も早く計測ができるなど、効率的な実施ができました。
また、実際にご協力いただいた保護者から、参加をしてよかったという感想が多く寄せられました。

【保護者から】
「楽しかったです。ありがとうございました。」
「他の子の様子が見られました。高学年になるとしっかり1年生に声がかけられることに感心しました。」
「6 年生になると、遠くまでボールが投げられるのですね。成長が楽しみです。」

【校長先生から】
保護者と一緒に行うことで、学校を理解していただくことにつながるだけでなく、学校を支えている実感をもっていただき、共に子どもの教育環境を整えていこうとする気持ちがつながっているような気がしています。

その他にも、卒業式の前日準備に保護者の力を借りたり、クラブ活動(小学校)の指導に地域のスポーツクラブのインストラクターが関わったりするなど、保護者や地域の方の力を借りた取組が広がっています。


~学校を介さず直接やりとり~
「えっ?! 教材の集金とか、行事写真の販売は学校ではやらないの?」

中学校ブロックでの話をする中で、このようなことが話題となることがあるようです。
既に、各学校では、教材の販売(支払)を保護者が販売店と直接行うケースが多く見られます。
また、行事等の写真の販売等も保護者が直接やりとりする学校も増えてきました。
学校を介さない各種取組もアウトソースの視点の一つです。
【図 教材等の集金・配布 Before After】




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③学校事務職員の業務分担の見直し (NEW)

【現状】 
平成 29 年 3 月に学校教育法が改正され、学校事務職員の職務規定が「事務に従事する」から「事務をつかさどる」に変わりました。
これは、学校組織における唯一の総務・財務等に通じる専門職である学校事務職員の職務を見直し、管理職や他の教職員との適切な業務の連携・分担の下、その専門性を活かしてより主体的・積極的な校務運営への参画を目指すものです。
また、本市では、平成 29 年4月に県費負担教職員の本市移管に伴い、学校における給与・服務等に関する業務のシステム化が行われました。

【今後の方向性】
上記に伴い、学校事務職員の職務分担を改めて明確化するとともに、副校長をはじめとした各職の標準的な職務分担を見直します。
学校事務職員は、事務長を中心とした学校事務連携を進めるとともに、主体的に校務運営に参画し業務の適正化・効率化を進める役割を担うことで、学校の組織力を強化していきます。

【工程表】新たな職務分担による学校の組織力強化
2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33) 2022(H34) …新たな職務分担表に基づく業務の実施


④市主催行事や学校行事等のあり方検討 (NEW)

【現状】
現在行われている市主催行事や学校行事等は、いずれも子どもにとって普段と異なる体験ができる貴重な機会であり、それぞれに伝統的価値や教育的意義などをもち、これまで続けられてきたものです。
一方で、新しい教育課程との整合性等、改めて市主催行事や学校行事等について、そのあり方を見直していく必要があります。

【今後の方向性】
市主催行事や学校行事等について、「子どものため」という判断基準だけではなく、時代の要請に合っているものか、教育活動全般における優先順位はどうか、学習指導要領に即した効果的な教育活動になっているかという視点で、見直しを進めていきます。

【工程表】市主催行事等のあり方の検討
2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33) 2022(H34) …検討・見直し



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⑤市全体の研究活動のあり方検討 (NEW)

【現状】
教員は、絶えず研究と修養に努めることが求められており、事務局主催の研修・研究活動だけではなく、学校関係者による研究会や各学校単位においても様々な研修・研究活動が活発に行われています。
これらは若手教員の育成をはじめ、教員の資質向上に大きく寄与しています。
一方で、研究のあり方によっては、教員の負担が過度な例も見受けられ、また、事務局主催の研究会も含め研究活動の多くが、性格上、長時間を要し、さらに時間外に行われている実態があります。

【今後の方向性】
研究活動は、教育の質を担保する上で必要不可欠であり、かつ、横浜の教育を支える大きな強みであるからこそ、より「持続可能」な活動にしていくことが重要です。
そのために、新学習指導要領に即した効果的・効率的な研究とその発信・共有の方法、子どもの学びへの着実な還元、働き方改革や負担軽減の視点にも立った今後の研究のあり方について、事務局、学校、研究会等それぞれにおいて、相互に連携・協力しながら検討を進めていきます。

【工程表】市全体の研究活動のあり方検討
2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33) 2022(H34) …検討・見直し


【「持続可能」な研究活動へ】
「持続可能」な研究活動をするために、工夫を重ねた取組が広がっています。

校内重点研究の進め方を工夫し より質の高い研究に!
【三保小学校の実践例】
ESD の研究を進める中で、教職員にとっても持続可能な研究に!ということで、研究会の進め方を工夫しています。
そのためにも、共通理解をどう図るか。
例えば、協議会の「タイムテーブル」「役割分担」を明示することや互いの顔が見え発言しやすい雰囲気をつくることなど。
教職員が主体的に研究に関わり、学校全体での研究が深まり、子どもの成長につながっています。

研究の様子をHPで分かりやすく紹介! 
【横浜市小学校算数研究会の実践例】
研究会での様子が、HPで写真等を使って紹介されています。
研究会で提案される資料を事前にHPに掲載することで、当日の研究会が深まるような工夫をしています。
研究内容は、随時更新され、会員の教職員だけでなく、誰でも研究の成果が共有でき、日常の授業改善に活かすことができます。